東雲財閥のリゾートホテルの全貌が世間に発表されて、二カ月後にオープンを迎える。ホテルでは、オープンに向けての準備が進んでいて、東雲財閥の社長をはじめとする重役達がこちらにやって来るのだと、店長が言っていた。
 
 ブーケの企画書が数社から提出され、『フラワーショップローズ』からも提出していたが、なんと最終候補に私のブーケが残っているという。

「美夜ちゃん凄いじゃない」
「信じられない……」
「次は、ブーケを持参しての重役の前でのプレゼンね」
「私、人前で話をするのが苦手です」
「私も全力でサポートするから大丈夫よ」
「は、はい……」

 大好きな花に囲まれて、優しい人達に出会って、可愛い娘にまで恵まれた私は誰よりも幸せだ。私の幸せを少しでもお客様にお裾分け出来ればと、心を込めてお届けしている。そんな私の仕事が少しでも認められたと思うと素直に嬉しいのだ。

 プレゼンに向けて準備をしていた私に、当日驚くべきことが待っていた――。