東雲財閥の長男に生まれた俺は、幼い頃からずっと跡継ぎとして育てられて来た。物心ついた頃には、毎日習い事に明け暮れ窮屈な生活をしてきたのだ。人は、御曹司というと羨望の眼差しを向けてくるが、俺からしたら自由に生きられる奴らを羨ましく思う。

 中学に入学する頃には、170㎝近くまで身長が伸びイケメンだと騒がれて、常に女子に囲まれていた。さらに身長は伸び、高校入学する時点では180㎝を超えて目立っていた。

 学校が終わると分刻みでスケジュールがびっしりで、学校にいる間が息抜きみたいなものだった。この頃の俺はストレスのはけ口を求めて、後腐れのなさそうな奴を選び学校内で身体の関係を持っていた。今思えば最低だったかもしれないが、それほどまでに東雲財閥の存在が大きかったのだ。

 大学に入るころには、遊びで発散させることをきっぱりと止めた。

 女性達の目が、俺という人間を東雲財閥として見始めたことを悟ったからだ。