どれくらい経ったか、柊から唇を離したことで無音のキスタイムが終わった。
余裕そうに、ぺろりと自分の唇をなめる柊。
「ほんと、クズっ……」
「ひどい言われようだなぁ。でも、最初の頃と比べて、口拭かなくなったね。最初なんて、なかったことにするみたいに口を拭いてたけど。あれは傷ついたなぁ」
「うっさい。思ってないくせに」
私たちは付き合ってない。
鈍感な幼なじみカップルの親友同士、ただそれだけの関係だ。
だけど、毎日の放課後、ポーカーをして私が負けたらキスをする。そんな契約を結んでいる。
どうしてこんな関係になったのか、あれは3か月くらい前のことだった。
その日は、家に忘れてきた宿題をやり直すはめになって疲れていた。
放課後まで時間がかかった宿題を先生に提出し、若干叱られ、くたくたになりながら教室に戻った私は、そこでとあるカップルのキスを目撃してしまった。
彼女は髪で顔が隠れていてだれかわからなかったけど、彼氏のほうはわかった。柊だった。



