「ん~? ほんとに告れるの~?」
日葵の頬をつついてイジワルすれば、日葵は今にも泣き出しそうな声を出した。
「うぅ……やっぱりやめる。また今度にするぅ……」
「こらこら。これくらいでくじけてどうするの」
「だってぇ……」
はあ。これだからうちの親友は。
かわいくて、世話が焼けるんだから。
「とまあ、こんな調子ですよ。うちのおバカちゃんは」
ひと通りことのなりゆきを話し終えた私は、ふぅと息をつく。
目の前の男は終始にこやかに話を聞いていた。
「いいね、かわいいじゃん。うちの女々しいイケメンよりずっといいよ」
吐き捨てる言葉はふわふわしてテキトーなもの。
本当にかわいいと思っているのかも怪しい。
表情が読めない。つかみどころがない男だ。
「穂稀くんはもっとひどいの?」
訊くと、彼は肩をすくめた。
「ほんとイヤになっちゃうよ。クールだってもてはやしてる女子たちに知られたら、確実に幻滅されるね。そんくらい、まーじでチキン」
彼は柊。



