底からスタートしたこの男への信頼がちょっと上がったとはいえ、そう簡単に受け入れるものですか。
バカだけど大バカではないんだよ、私は。
「今度4人で遊ぶとき、穂稀と日葵ちゃんがお互い告白しようとしてるわけじゃん? どっちが先に告れるか賭けようよ。俺は穂稀で、菜花は日葵ちゃん」
「えぇ、そういうのやだよ」
「って言うと思ったけどさ、ずっとこのままってわけにもいかないでしょ? 賭けをすれば、俺たちは2人が告白できるよう本気で後押しするようになる。今までなんとなく見守ってきたけど、そろそろ本気でくっつけてあげたいよね」
ペラペラとうまいことを言うんだから。クズなやつほど口が回る。
「なにを賭けるの?」
「言うことを聞く権利。負けたほうが、勝ったほうの言うことをなんでも聞く。どう?」
なんでも、か……。
それなら、このキスするだけの関係をやめられるかも。
「わかった、いいよ」
私が受けて立つと、柊は、してやったりと言うかのように笑った。



