惰眠をむさぼるくらいなら


なるほど。親しみやすい雰囲気はこのクズな性格からきてるんだ。



「穂稀くんの親友とは思えないわ」

「親友だよ。穂稀を誘って、一緒にナンパに出かけるくらい仲良し」

「いや、やめろよ。穂稀くん、日葵のことが好きなんでしょ? 2人の邪魔するなし」

「まあ穂稀は乗り気じゃないけど。でも、穂稀がいるのといないのとで、引っかかる女のレベルが全然違うっていうかさ」



私の危険感知センサーが反応した。


ダメだ。この男を野放しにしてはダメ。

この男のせいで穂稀くんがエロい女に誑かされて、日葵との仲に亀裂が入ったらどうする!



「やめてよ。穂稀くんと日葵の仲を壊さないで」

「壊すつもりはないよ」

「つもりはなくても、キッカケになっちゃうかもしれないじゃん」

「でも俺も、ストレスを発散しないと死んじゃうし」

「だったら」



ああ、私はなんてことを言おうとしてるんだろう。バカか私は。


日葵の幸せを願ってるけど、自分の幸せだって願っている。

幸せになりたいなら、こんな男に関わってはいけない。

普通の幸せをつかみ取れよ、菜花。