好きになったきっかけは、いたって単純。
俺らの通う高校は私立だから一学年に11クラスある。
そのため、同じ学年でも名前や顔を知らない生徒とかざらにいるし、俺と楓夕もそうだった。
楓夕はどうだったか知らないけど、俺はまぁ、名前だけは知ってた、くらい。
『浅桜楓夕って子がかわいいらしい』
友達からそんな噂を聞いていた。
可愛いって言ってもたかが知れてるだろうって。
どうせすぐ忘れる名前だって思ってたし。
興味もなくて、俺は流した。
女は嫌い。
中学のときから何人かと付き合ってみたけど、ちょっと他の女と会話しただけで拗ねたり、遊びに行くときはマメに連絡してって言われたり。
気づけばいつでも俺が女の機嫌を取ってて。
おまけに、限界を迎えた俺が別れ話をしても、『なんで? 悪いとこあったら直すから』って泣いて懇願。
…もう、うんざり。
それからは、付き合ってなくても俺に寄ってくる女は全員嫌いだった。



