素直に驚く咲花と、一気に不機嫌な高嶺。
あれ…?
これ、よくない空気漂ってない?
「誰から? 相手!」
「3年の先輩」
「え~っ、すごいじゃん」
こういう話が大好きな咲花は食いついてくるけど…。
でもね、高嶺の顔が怖いんだよね、さっきから。
「でも断ったんでしょ?」
「うん」
高嶺が不機嫌なのを察したのか、咲花が話を振ってくれるけど、高嶺の機嫌は戻らない。
…それどころか。
「…嬉しそうでよかったね」
それだけ言い残して、自分の席へ戻ってしまった。
さっきまでとは打って変わって。
しゅん、と垂れ下がったしっぽが見える。
…嬉しいなんて、ひとことも言ってないんだけど…?
「どしたん柊木~、ご機嫌斜めじゃん」
遠くの方で男子のからかう声が聞こえるけど、あたしは謝りに行けなかった。
話しかけると、またぼろが出そうで。
だけど、結局。
その日は、一日中高嶺と会話することはなかった。



