「おつかれ、楓夕~」
咲花の隣に腰を掛けて「ありがと」ってひとこと。
告白断るのって地味に疲れるんだね。
これからはそんなのを普段からこなしている高嶺のことも少しだけ敬うとしよう。
「どこいってたの」
「あ、実は…」
咲花に話そうとした瞬間。
「楓夕~!!」と近づいてくる声。
…来た。
また、女子を放ったらかして来た。
遠くの方からにらまれてるからね。
勘弁してね。
「おかえり」
「うん」
なんかこうしてると、高嶺って犬みたいだな。
ぶんぶん振ってるしっぽが見える。
「女子はよかったの?」
「え?」
「…え?」
「どうでもいいよ、あんなの」
あんなの…って。
「楓夕が最優先」とひとりで納得している様子の高嶺。
そういえば、ともう一度顔をあげる。
「なにしてたの? 今」
あ、そうだ。
咲花にもその話しようとしてたんだ。
「告白されてた」
「えぇっ」
「…は?」