「おふたりとも、お昼からヒマですか?」
「うん」
午後は自由時間。
…そうだった。今この瞬間さえ乗り切れば…。
「ちょうどいい。俺もなんです。一緒に回りません?」
それは…咲花のことも一緒に誘ってくれてるのか。
優しいなぁ、ちさくんは。
だけどその厚意もスルーして、咲花は顔の前で手を振る。
「あー、いいや。あたし、別の人と回るから二人で楽しんできて?」
「え…でも、咲花」
「あたしいたら邪魔だろうし」
そんなことないけどな、あたしは。
でも…心なしか、目の前にいるちさくんが嬉しそうにしている気がする。
「ありがとうございます。じゃあ俺…このへん、うろついときますね」
「あ…うん」
「午後の人に引き継いだら電話ください」
あたしの目をしっかり見てそう告げたあと、ちさくんは廊下の奥に消えていった。
ふたりきりか…。
高嶺と鉢合わせないといいけど。



