幸い、もうみんな持ち場についていて人は少なかったけど。
いちばん見られたくない人は、ちゃーんと教室の前で待機してたよね。
あたしのコスプレ姿を見るなり、目を丸くしてすぐに近寄ってくる。
「えっ、楓夕、なにそれ」
「…いや、不本意なんです、ホントに」
その後ろでは、絢翔が咲花に「かわいいね、似合ってる」とあたりさわりのない褒め言葉を伝えてる。
「いや、マジかわいい…けど…」
複雑そうに顔を逸らして、もう一度あたしの顔を見下ろしながら心配そうに顔をゆがめる。
「また確率あがった…」
「…なんの?」
「楓夕がナンパされる確率」
聞き返さなくていいくらいどうでもよかった。
されるとしたら咲花目当てだからね。
変な心配しないでね。
「楓夕は知らないだろうけどさ…」
「うん」
「俺、めっちゃ妬いてるからね」
…誰に? なんで?
それを聞き返すのも恥ずかしくて、ただ視線をそらした。
そしたらうしろでニヤニヤしながら見つめている咲花と絢翔と目が合って、余計恥ずかしい思いをすることになったんだけど。



