「7月7日」
答えながら資料室を出てドアを閉める。
質問した本人は、一瞬かたまったあと、驚いたように声を出す。
「もう過ぎてんじゃんっ」
「…うん」
「え…もう二か月経つけど…誕プレなにがいい?」
「いらない」
あたしの返事に分かりやすく肩を落とす高嶺。
その隙に「それ、ちょーだい」とあたしの持っていたマーカーの箱を指す。
これくらい自分で持てるけど…。
不服そうにしていたら、「じゃあこっち持ってて」と笑いながら模造紙を渡され、結局あたしが模造紙二枚を持って高嶺がマーカーの箱を持って歩く。
「てか、じゃあ、2年7組7月7日生まれじゃん」
「そうだけど」
「すげー、めっちゃ運よさそう」
中身のない返答に笑いそうになりながら、あたしは高嶺の隣を歩いて教室へ戻る。
廊下に人も少なくて、女子に邪魔されない平和な時間をすごしていたのに。
「たかねくんっ」
…出たな。
クラスの女子。
いわゆる小動物系というやつで、ちまちまと動いてかわいいけど、ぜんぶ計算なのが分かる。
…高嶺くん?
名前呼びはまずいんじゃ…と思いながら高嶺の顔を見上げると、案の定イラついた顔をしていた。



