( 楓夕SIDE )
◇ ◇ ◇
「楓夕~」
クラスメイトの女子に呼ばれて顔を上げた。
もう白のインクがないなぁ…って振って確認してたところ。
「ごめんなんだけど、資料室に模造紙取りに行ってくれない…?」
「あ、いいよ」
ちょっと退屈してたところなんだよね。
なんであたし? とかいう愚問はしないよ。
あたしはすぐ立ち上がって、スカートのプリーツをはたく。
「ついでになくなったマーカーも取りに行ってくるね」
「ありがとー、マジ助かる」
はーい、って返事をしてあたしは教室を出る。
今日から数日間、文化祭の準備期間で授業は4時間目までになる。
5,6時間目は文化祭準備の時間。
話し合いの結果、うちのクラスはお化け屋敷をやることになった。
暗幕を借りて部屋を真っ暗にして、パーテーションで壁を作り、お化け役の生徒が客を驚かす…。
なんともありがちな。
…とか言ってたら文化祭楽しめないしね。
それも愚問だった。