「ぎゃ」
「…ふふ、どんな声」
後ろから倒れこむように先輩の肩に顔をうずめる。
腕は回さないでおく。
セクハラだとか言われても困るから。
「ど、どうしたの」
「甘えたくなって」
「…そっかぁ」
ほらね。
先輩、なんにも警戒してない。
それどころか、のんきに俺の髪を撫でてる。
単純で、ちょっと抜けてて、俺のこと男としてなんか全然見てない。
そんな先輩が可愛くて、愛おしくて、仕方ないんだよ。
「課題してたの?」
「あ、うん」
先輩が机の上を見たらしく、聞いてきた。
「数学かぁ。あたしも手伝おうか?」
「…先輩、勉強できたっけ?」
「うーん…数学は一番苦手。今回のテストも高嶺に教えてもらってなんとかなっただけだし…」
”高嶺”
ふうん。
先輩、俺といるのに他の男の名前出すんだね。
良い度胸じゃん。