それから数か月。
中一の終わり、事件が起きた。
『楓夕って生意気だけど、力でねじ伏せたらなんでもできんじゃね?』
『はは、お前襲う気かよ! 楓夕は確かに可愛いけどさぁ』
終礼が終わって、少し早めに部室に向かうと、二年の先輩がそんな話をしていた。
黒い感情がモヤモヤと立ち上る。
先輩を襲う? 力でねじ伏せる?
…先輩のことを舐めているとしか思えない口調が、俺の中に苛立ちを持たせた。
『今日の部活終わったらやってみちゃう?』
『お前外道だなぁ』
なにかを考えるよりも先に。
俺は部室に飛び込んで、先輩に手を上げていた。
馬乗りになり、無我夢中で先輩を殴って、先輩は鼻血を出していたし口の端も切れていた。
『何やってんだ、宇佐見っ!!』
もう片方の先輩が呼んできたらしい顧問に連れ出されて、俺は部活が終わるまで延々説教をされた。
その結果、俺は部活を退部になり、一週間の謹慎処分を申し付けられた。



