「なにか探し物?」
「あ、いや…」
歯切れ悪そうに顔を背けるちさくん。
そんなに言い難い探し物ってある?
不思議に思っていたら、ようやく口を開いてくれた。
「その…家の鍵をなくして…」
「…え? 大丈夫なの、それ」
だって、確かあたしの記憶の中では、ちさくんの両親は共働きで、職場に泊まってくることもしばしば。
あたしの質問に、ちさくんは困った顔をした。
「それが、今日親帰ってこない日なんですよね…」
大事件だね、それは。
困ってるらしい可愛い後輩のためだ。
あたしがひと肌脱ぐしかないな。
「あたしの家来たら?」
「…え? でも…」
「いいよ。みんなちさくんなら喜ぶと思うし」
いきなり家来なよ、なんて怖かったかな。
不審者極まりなかったよね、きっと。
ちさくんは少しの間迷ったあと、あたしの様子を伺いながら、「…じゃ、お邪魔します」と答えた。



