高嶺と並んで歩くのは、未だに慣れない。
夏休みが明けてから、毎日のように校門の前で待ち伏せされていて強制的に教室まで一緒に行かせられるけど。
周りの視線が気になりすぎて、会話にも集中できない。
校門を抜けると、ようやく人の波が落ち着いてくる。
あたしは「ふぅ」と小さく息をついて、体の力を抜いた。
「楓夕の顔を覆いながら歩きたい」
「…は?」
なに、急に。
今まで無言だったのに、沈黙を破った開口一番が、それ?
そんなことされたら前見えないから、やめて。
高嶺の顔を見上げながら思うと、彼は口をとがらせて拗ねていた。
「…だって、楓夕見られすぎだし。いろんな男から」
「いや…それはアンタが」
「ちがうね。浅桜さんかわいーとか言われてたの気づいてないでしょ」
…はい?
なんの冗談?
笑えないよ。



