「てかさ。いっぱい女子に絡まれて疲れたから、ご褒美ちょーだい」
「…ご褒美?」
別に…。
キスとか、ハグとか、そういう体に触れるものじゃなければ、とくには大丈夫だけど…。
「うん。一緒に帰りませんか、楓夕さん」
テスト勉強に誘うときもこの言い方だった。
そしてこの言い方をするとき、高嶺の顔はすこし緊張で強張っている。
…あたしのこと誘うのって、そんなに勇気いることなの?
忙しくなければ基本オッケーするのに。
「いいよ」
「マジ? …やった」
さっきまで、女子からの『一緒に帰ろ』という誘いをスパスパ切り落としていた男とは到底想像もつかない。
今度は自分が女子に『一緒に帰ろ』と緊張を抱えながら誘っているなんてね。
高嶺は、よくわからない。
それから、あたしの返事ひとつで顔を綻ばせて嬉しそうに。
…高嶺のその顔、ちょっと弱いかもしれない。



