何回言われても慣れない…そんな言葉。
「俺だけ見てくんない? 楓夕」
「っ…」
「あー、マジかわいい、その顔」
顔が火照る。ひたすら。
…ずるい、コイツはどこまでも。
「もうほんとね、誰にも見せたくない」
柊木高嶺は女嫌いらしい。
だけど、こんなにもあたしだけに甘くて、関わるには胸焼け必須な人間だってこと、今更知った。
いつから好きだったの? とか。
具体的にどこが好きなの? とか。
ぜんぶ聞いてみたいけど。
今はちょっと、心臓を抑えるのに必死。
「…あのぉ」
突然聞こえた、あたしでも柊木高嶺でもない声。
びくっと肩を揺らすあたしに、涼しい顔をしている目の前の男。
「もう図書室閉めるので…あの…」
あ、出てけってことかな。
占領しちゃってごめんなさい。
…と、カバンを持って立ち上がろうとしたのはあたしだけ。
「あ、俺ら閉めとくんで大丈夫っす。鍵ください」
「…え? で、でも」
「いいんで、ほら」
…バカ柊木。
圧がすごいよ。
図書委員らしい気弱そうな男の子が、おどおどしながら鍵を渡す。
一年かな。怯えさせちゃって申し訳ない。
「じゃあ、お願いします…」
「はいはーい」



