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夏休み明けの今日。
まだ暑い日差しに焼かれて、いつも通り登校した。
…うん、いつも通り。
だけど、ひとつだけ違和感。
突っ込まずにはいられない出来事が…今、目の前で。
「おはよ、楓夕(フユ)」
…笑顔で校門で待ち伏せ?
変だよ、キミ。
じとーっとその顔を睨みながら、横を素通りしようとする。
まぁ、すかさず腕をつかまれたわけだけど。
「待って待って、挨拶しただけじゃん、まだ」
「…まだって、どうせ一緒に教室行こうとか言うつもりでしょ」
そういいながら、あたしはさり気に腕を振り払う。
分かりやすい。こいつの考えてること、手に取るようにわかる。
案の定、「バレてたかぁ」と笑う目の前の男。