この甘い空気、耐えられない。
なんとか話を変えよう…と振った話題。
「…女嫌いって、ホント?」
「……あー」
──また話題提示をミスったらしい。
もうやだ。
ここまできたら人と会話するの向いてないんじゃないかって思えてくる。
なんとなく重い空気感。
逃げ出したい。
「気になる?」
「…いや」
あ、はぐらかそうと…してる?
それならそれでいい。
あたしだって、本当に聞きたかったわけじゃない。
最初は女嫌いなんて嘘でしょって疑ってたけど、確かにあたし以外の女子とは言葉を交わしていない様子を見て、確信に近づいたところだったし。
「まぁ、あながち間違いじゃないかな」
…なんでこいつは、丁寧に答えてくれちゃうんだ。
不真面目なのに真面目で、そういうところが、なんとなく苦手。
そんな哀愁の漂ったような絶妙な表情で話す内容ではないでしょ、と、柊木高嶺の顔を見上げた。
いつからか、あたしのペンを持つ手も止まっていたことに気づいたのはそのときだった。



