( 高嶺SIDE )
◇
春休み、終盤も終盤。
あと二日ではじまる新学期に不安と期待が高まる。
クラス替えが大勝負。
楓夕と一緒になれなかったらもう…。
俺、立ち直れないかも、なんて。
「じゃ、また今度な」
そういって玄関先から手を振る友人に、
「始業式から遅刻すんなよ」
忠告だけして、俺はすっかり暗くなった夜道を歩く。
どうせ高校生最後の春休みなんだしってことで、別のクラスの友人とゲームしたり映画見たりして一日中遊んでた。
スマホを見ると、時刻はもう夜21時を回ってる。
結構遅くなったな…。
はやく帰りたいけど、その前にコンビニ寄ろう。
喉乾いたし小腹もすいた…。
道の途中にあった見慣れたコンビニチェーンに入る。
暗い夜道に、24時間営業の明るい店内はどことなく安心する。
「いらっしゃいませー」
店員のやる気のない声につられてあくびをひとつ。
少し歩いてドリンクコーナーの前へ行くと…。
目を疑った。
気のせいかと思った。