「で、どしたの、楓夕ちゃん」
…どしたの、とは。
ひとつしかないでしょう、その理由は。
「…ここに来るまでに誰にも見つからなかった?」
いったん、外堀から埋めさせてね。
高嶺はキョトンとしながら、「うん」と頷いた。
そっか…。
じゃあ、本当にチョコは1個ももらってないってことだ。
何も言わないあたしを不思議に思ってか、高嶺が体を起こす。
あたしの顔を見つめて頭を撫でてくるから、また顔が赤くなってしまうわけだけど…。
「楓夕?」
「…あのさ」
大丈夫。
彼氏と彼女なんだから、断られるとかないし、しかも高嶺だったら心配するのも無駄なくらいだし…。
ドキドキする心臓。
静かにして、って唱えながら、あたしはカバンの中を漁る。
チョコの入った小包。
高嶺のためだよ、受け取って。



