「今日何の日か知ってる?」
「え…うん」
不意に目を見てしまったのがいけなかった。
…吸い込まれそう。
「俺にはないの、先輩」
そんな風に言われると…。
用意してないほうが悪いみたいだけど。
…普通って、彼氏以外の男の子にはチョコ渡さないよね?
あたしの感性が合ってるんだよね?
「なんてね。嘘ですよ、嘘」
困惑するあたしを見たからか、ちさくんが観念したように声を上げる。
それでホッとしちゃうの…ちょっとだけ罪悪感。
「先輩ってマジで柊木センパイのこと好きなんだぁ」
「…うん」
「あは。…普通に妬ける」
そんなことを言われても。
…好きなんだもん。
高嶺だけが、好きなんだもん。
「恋人生活は順調ですか」
「う、うん…たぶん?」
「柊木センパイに言っといてよ。楓夕先輩のこと泣かせたらすぐ俺が奪いに行くからって」
またしても嘘か本気かわからないようなことを言われて…。
笑いながら立ち去っていくちさくんの後ろ姿を、呆然と見つめることしかできなかった。



