それから…。
高嶺と一緒に登校しなかったことであたしに降り注ぐ不運。
校舎に入ると、普段より気合の入っている女子たち。
ピリピリした空気。
「柊木くんまだ来てないの!?」
…あちこちから飛び交う焦りの言葉。
みんな忙しいねぇ…と他人事のように思いながら上履きに履き替えていると。
「先輩、おはよ」
「っ……」
び、びっくりした。
心臓飛び跳ねた。
あれ以来…会ってなかった後輩。
宇佐見知慧。…どうやら、あたしのことを好きだったらしい男の子。
今日も朝から一段と輝いていらっしゃる…。
そんな彼と目を合わせるのは容易じゃない。
「今日は一緒じゃないんだね」
「え? あぁ……時間ずらすって」
あたしが答えると、ちさくんは目を細めて「モテる男は大変ですね」なんて言う。
…人のこと言えないじゃん、ちさくんも。