「今日、最初家に入った時からずっと意識しっぱなし。なんとか平常心保つために頑張ってたのにさぁ…」
「んっ……」
さ、と首筋を撫でられて体が震えた。
平常心…。
あたしと、一緒…?
「…楓夕、これは反則」
やっと顔を上げた、高嶺の赤い顔と目が合った。
…高嶺、かわいい。
あたしだけじゃなかったね。
「…俺がどんだけ楓夕のこと好きか、わからせてあげる」
「っ……」
高嶺は、とびきりオオカミ。
あたしのことを食べてしまいたいというような、そんな目。
それならあたしは、可愛い子羊?
それも、オオカミに食べられたいと自ら願う、変な羊。
…高嶺にだったら、何されてもいいの。
本当だよ?
「じゃあさ、高嶺」
「…え?」
ひとつ、提案ね。
「あたしのこと襲ってみてよ、おおかみさん」
…高嶺の理性が切れた音。
体が宙に浮いたと思ったらお姫様抱っこされて、優しくベッドにおろされる。
その…大切に扱うような手つきが、ドキドキする。
高嶺にだったら乱暴にされてもいいのに。
…でも、今はまだ。
優しくて、とろけそうなくらい甘い高嶺を味わいたいからね。
もっとあたしを乱して。
…そんなふしだらなことを考えながら、その日、高嶺に初めてを捧げた。