いつでも高嶺のこと…待ってた。
だから、聞くまでもないよ、そんなこと。
「なるっ……」
照れ隠しで、もう一度高嶺に抱き着いた。
心臓の音…うるさい。
絶対聞こえてるよね…。
白い息もどことなく震えて見える。
「あー……反則すぎ」
きゅっ…と目をつぶって。
一生懸命、高嶺に抱き着いた。
言葉にするのはどうやら下手だからね。
伝われ、伝われ…って、必死に唱える。
「つか、俺が頼み込む方だし、本来。……俺、楓夕の彼氏になりたいんだけど、いいですか」
首がとれちゃいそうなくらい頷いた。
ダメな理由、ないよ…っ。
「…ん、一生大事にする」
そういって、冬の寒空の下。
あたしたち、はじめて…口同士のキスをした。
それだけでいっぱいいっぱいだったけど。
遠くの方で、除夜の鐘が年越しを告げている音が聞こえて、あたしは今年が世界一幸せな大晦日だったと心から思った。