それから、どれだけの時間を寝て過ごしたんだろう。
枕元に置いたままのスマホが震える音で目が覚めた。
寝ぼけまなこで、誰が電話をかけてきたのか、名前も見ないままに通話ボタンを押す。
「もしもし…」
『もしもし、起こしちゃった?』
目さめた。
ばっちり目さめた。
…高嶺、だ。
ただそれだけのことで心臓が騒がしくなる。
どうしよう…嬉しい。
「うん」
『あは。返事ないからどうしてんのかなーって思って』
あ…。
そう言われてはじめてトーク画面を確認して、高嶺から返信がかえってきてたことに気づいた。
「何してきたの?」
『普通にイルミ見て、飯食いに行っただけ』
「ふーん…」
いいな。
あたしも高嶺と一緒に…なんて、邪念! いらない!!
『楓夕は? 中野さんと出かけたんだろ?』
ドキーンッて心臓が跳ねた。
あぁ…やっぱり、咲花と二人でいると思われてたんだ。