「今年は咲花ちゃんと遊ばないの?」
…なんて、お母さんにまで聞かれる始末。
いいよ。
別にひとりでも。
…嘘。ほんとは寂しい。
しかも。
あたしの心がこんなに落ち込んでいるのは、なにも咲花に遊ぶのを断られたからってだけじゃない。
…高嶺。
今までのアイツだったらどんなことよりもあたしを優先して誘ってきそうなものなのに、”クリスマス”のクの字も出なかった。
たぶん、あたしが咲花と一緒に遊ぶと思って遠慮してくれたのかもしれないけど…。
その結果、ちゃーんと独りぼっち。
「あれ? 楓夕、今年はどこもいかんの?」
さっきも同じような質問されたよ、お兄ちゃん。
これ以上あたしの傷をえぐらないでね。
「お兄ちゃん…は、今から遊びに行くのね」
「うん。久々に中学の同級生で集まろうってなってさー」
…いいなぁ。
ソファに座って呆然としてたあたしが振り向くと、お兄ちゃんがいつも以上にオシャレをしてまさに出かけようとしてた。
「楓夕…まぁ、そういう年もあるよ…」
ヤメテ。
そんなに哀れんだ目をしないで。
とてつもなく泣きたい。
あと、悔しい。
「まぁまぁ、そこまで言わなくても…。楓夕だって、今日くらい家でゆっくりすればいいわよ」
お母さんになだめられて余計みじめだから!!
もう!! これ以上家にいたら精神に異常をきたしそう…。
「お母さん!! あたし、外出てくる!!」
そうして部屋に閉じこもって、出かける準備をはじめた。
お母さんは慌てた様子で「遅くなりすぎないでよー!?」って叫んでたけど、いいもん。
どうせひとりでイルミ見に行くだけだからすぐ帰ってくるし!!