「先生いないな」
ついたのは保健室。
白い空間と消毒の匂いが鼻をかすめる。
「とりあえずそこ座って」
高嶺に指さされたのはベッド。
もう涙は止まっているんだけど、高嶺なりに配慮してくれた結果だろう。
…高嶺のそういうところが、好き。
「寒くない?」
「ん、大丈夫…」
少しして、高嶺もこっちへ歩いてきてあたしの横に深く腰を掛けた。
ベッドのスプリングが軋む。
「で、なにがあったの」
そーっと目をそらしてみるけど、「答えて」と釘を刺されて逃げられなくなった。
「そんな言いたくないこと?」
「いや…ん…いいけど別に…」
「じゃあ言ってよ。楓夕が泣いてるってだけで気が気じゃない、俺」
いつにもまして真剣な声色。
そっか…心配、してくれてるんだもんね。
あたしは深く息を吸って、尋ねた。
「あの子とはなんにもなかった?」
ようやく聞けたのはそれ。
疑ってるわけじゃないけどね、一応ね。



