「なんで起こしてくんなかったんだよ!!」
「…ごめんって」
二時間目が終わって早々、絢翔に本気で怒られていた。
反省してるよ…。
高嶺に夢中で忘れてたの。
口をとがらせて拗ねている絢翔に苦笑いをして、なんとかなだめる。
「ったく…」
「今度ジュース奢ってあげるから」
「…言ったな?」
しっかり寝ていた絢翔は、号令のときにひとりだけ座ったままいるのを先生に見つかり、がみがみ怒られたせいでご立腹らしい。
これって、悪いのあたしだけなの?
…ちょっと不服だけど、あたしは大人だからね。
許してあげる。
「学級委員いるかー?」
教室のドアの方から聞こえた先生の声に、顔を上げる。
ドア付近の最前列に座る高嶺が嫌でも視界に入って、少しだけ心臓がざわついた。
「どっちもいないでーす」
クラスの男子が先生に伝えると、「んー…」と悩むそぶりを見せ、近くにいた生徒に目を向けた。
先生が声をかけたのは高嶺と、隣の席の女子。
ふたりにだけ聞こえる声で話してるから、こっちまで会話の内容は聞こえてこない。
だけど…ふたりの生徒が立ち上がって教室を出て行ったところを見ると、先生に頼まれごとをされたんだろう。
…先生。
周りにも生徒いたじゃん。
なんで高嶺なの。
女子とふたりきりになっている高嶺を想像したら、胸がズキズキ痛む。
…あたしは、意外と高嶺のことが好きらしい。



