「はい、じゃあくじ引いたやつから席移動しろよー」
うちの担任はよくわからない。
なんで12月の、もうすぐ冬休みというこの時期に席替えなのか。
でも、思えば夏休みが明けてからずっと同じ席だったし、そろそろ気分転換…。
あわよくば、高嶺と近くの席に…って思ったけど。
こういうとき神様なんていないなってホントに強く思う。
「楓夕と隣かよー」
「…なんで絢翔…」
あたし、一番うしろの席。
隣は絢翔。
ちがう。
別にいいんだけど、違う。
絢翔じゃなくて、あたしが求めてたのは高嶺なの!!
「そんなあからさまに肩落とすなよ…」
まぁ、絢翔は悪くないしね。
…高嶺の席、最前列。
隣は女子。
彼女もたしか高嶺ファンだ。
「ねみぃ……先生きたら起こして」
顔を伏せて寝る姿勢に入った絢翔を横目に、あたしは高嶺に視線を奪われ続けていた。