「なんでだろうね? だけど、今も先輩のことしか考えらんないんだ」
あほだよね。
うん、本当にあほなのは、先輩じゃなくて俺だ。
「…先輩、中学のとき、俺が退部になった事件覚えてる?」
先輩は、言葉にはせず頷いた。
目を伏せて、あのときのことを思い出す。
「俺があの日…先輩を殴ったのは。楓夕先輩を守るためだったんだ」
「…っえ?」
驚いた声。
あのとき、先輩は俺をかばってくれたし、謹慎中でも家に押し掛けてきたよね。
どれほど救われたか、先輩は知らないでしょ。
俺は、あの先輩男子が話していた内容を全部伝えた。
先輩は驚いたように、ぽろぽろと涙を流す。
あーあ。
今更、こんなことで泣かなくていいのに。
「そんな、じゃあ……なんで先生たちに本当のこと言わなかったの…?」
「先輩が傷つくと思ったから。俺には、それが最優先事項だと思えたんだよ。今でも、正しかったと思ってるしね」
俺の言葉に、先輩はまた泣いた。



