でも、せっかくだからいただきますね。
俺は箸をくわえて、卵焼きを口に含んだ。
しかも…間接キスだし。
マジで男として意識されてないんだって悲しくなってきた。
「うま」
「でしょ」
俺も先輩も口角が上がる。
こんな時間が一生続けばいいのに、とか。
叶わないことを本気で願っちゃうくらいには末期だよね。
「…先輩」
心なしか、声が震える。
再び視線を落として次のおかずをつつこうとしている先輩の手先。
俺は、その小さな手に自分の手をかぶせるように握った。
びくっ…て、肩震えた?
かーわいい。
「ちさ、くん…?」
不安そうに俺を見上げる先輩。
うん。
怖いね。
何言われるんだろうって、だいたい予想ついてる顔してるね。
…俺も同じくらい怖いから、許して。



