「これかけといて」
そういって、俺はブレザーを脱いで先輩の足にかける。
最後くらい、とびきり優しくさせてね。
「いいの…? ちさくんは…」
「子供は風の子なんで」
「…子供って…」
卵焼きを口に運びながら、先輩は不思議そうな顔をする。
こういうときは子ども扱いしないんだね。
「先輩のお母さんっておいしそうなお弁当作るよね、いつも」
隣のお弁当をみながら呟くと、先輩は恥ずかしそうに顔をあげる。
「あ…これ、実はあたしが作ったの」
「…え、ぜんぶ?」
「うん。お母さん監修の元だけど…」
思わず喉を鳴らす。
それを聞いたら100倍美味そうに見えてきた。
「どれか一個ください」
「いいよ。この卵焼き食べてみて? 自信作なの」
そういって、卵焼きを箸でつかんだ先輩。
…なんのためらいもなく、”あーん”をしようとするんだから、怖い。



