「ち…ちさ、くん?」
その声。
その呼び方。
その黒髪。
その白い肌。
その瞳。
なんでこんなに、好きなんだろうな。
「驚きました?」
「そりゃもう……だって、いつもは…」
そこまで言いかけて、口を閉じる先輩。
…気づいた? 成長したね、先輩。
あぁ、今も柊木センパイのことで頭がいっぱいなんだね。
俺に付け入る隙、ないか。
…分かってたけどね。
いいけどね。
先輩がいつ来るかわかんなかったから、今日ははやめに家を出て学校の最寄りで待ってた。
「行きましょうか」
手は差し出さない。
虚しくなるだけだから、最後はあっさりがいい。
「…ん」と、もう一度マフラーに顔をうずめる先輩が俺の隣を歩く。
ねえ。
その赤くなった顔は、寒さのせい?
先輩は…一度でも、俺のことを意識してくれた?
ドキドキしてくれた?



