俺が何年もあなたしか見てないこと、気づいてたのかな。
…気づいてないんだろうな。
先輩、変なとこ鈍感だから。
あーあ。
ホント、最後まであほだったね。
バカで、天然で、強がりで、いつもきまって先輩面。
…そういうところ、ぜんぶ大好きだった。
先輩。
俺はね、気づいてたよ。
もうずっと前から、柊木センパイに目奪われてたでしょ?
…なんでそんな分かりやすいのかなぁ。
もうちょっと、俺に考慮してくんない?
ムリか…。って、何度も繰り返した自問自答。
この先も続くのか、それはまだわかんない。
でも、伝えてみないことにはね。
「おはよ、先輩」
そう挨拶すれば、先輩はマフラーにうずめた顔を驚かせた。
その顔、かわいー。
出来れば俺のものにしたかったな。
…隣に、置いておきたかったな。
あー、怖い。
怖いよ、俺。
だって、何年も好きだった先輩に振られんだよ、今日。
…夜になったら、泣いていい?
それくらい許してくれなきゃ、俺はたぶん先輩を悪魔って呼ぶ。