「さぁ、本日最後の種目です!!」
今日はもう聞き飽きた、放送委員の声。
ついに選抜リレーの時間がやってきた。
ご褒美の件をほんのりと思い返す。
頑張ったら…って言ってたけど、高嶺はきっと頑張っちゃうよ。
信じてるもん、あたし、高嶺のこと。
──パンッ
瞬く間に鳴り響くピストルの音。
走り出した高嶺は、誰よりも輝いている。
喧騒はどんどん遠のいて、あたしの世界には高嶺しかいなくなった。
…かっこ、いい。
呆然とそんなことを考えちゃうくらいには、見とれていたんだと思う。
あんな真剣に走ってる高嶺、見たことない。
きっと周りの女子もたくさん騒いでいるんだろうけど、高嶺は今…あたしのために走ってる。
それだけは、自信を持って言えた。
優越感に浸りつつ、高嶺から目が離せない。
スパッ…と、ゴールテープを切ったのは、高嶺。
「見事一位に輝いたのは、2年7組、柊木高嶺くんです!!」
わーっと歓声が鳴り響いて、ようやく現実に引き戻される。
全員がゴールしたあと、一目散に帰ってきた高嶺は。
「楓夕!! こっち」
あたしの腕を引いて、嬉しそうに走った。



