「まぁ、大丈夫じゃね? うちのクラスなら。みんな気にしてなかったし」
「…ホント?」
「うん。楓夕がんばってたからね」
…ぽんぽん。
頭を軽く叩かれて、顔を見るのも恥ずかしくなる。
ダメだ…なんか。
高嶺の隣にいると、息をするのも苦しい。
「朝した約束、覚えてる?」
「へ…?」
「俺、頑張るかんね」
かぁ…と顔が火照っていく。
ず、ずるい。高嶺。
頑張って忘れて体育祭に集中しようと思ってたのに。
どっちにしろ、高嶺の出番は最後なんだし…。
「忘れさせねーよ。…俺のこと、ずっと考えてて」
ぼそ、とつぶやかれた言葉。
喧騒の中でもはっきり聞こえてしまった。
高嶺は意地悪。
わざわざ言わなくたって、あたしはいつでも高嶺のことで頭いっぱいなのに。
「…ずるい」
あたしの言葉に、高嶺が前を向いたまま口角を持ち上げたのが視界の隅に映った。
あたしのことが好きだって先に言い始めたのは高嶺なのに、いつのまにかあたしのほうが振り回されてて。
なんだか。
本当に、ずるいなぁって、思う。



