「先輩のいろんな顔見てみたいなって毎日思ってるけどね」
「…え?」
「だけど、そんな顔、俺だったらさせないよ」
…ちさくん?
今日、なんか変だよ。
違和感。
その言葉がぴったり。
「…あの人のこと忘れて、俺のこと見て」
違う。
きっと…からかわれてるんだ、あたし。
年上として、ちゃんと断らなきゃ流されてしまう。
だって…その瞳が、あまりにまっすぐすぎて。
「もう。先輩をからかうもんじゃ…」
「からかってないです」
ぎゅ、と手を握られて、心臓が飛び跳ねる。
からかってない…って、そんなの嘘だ…。
「…ごめんなさい。ただ、先輩があの人のことで頭いっぱいになってんの、見過ごせなくて」
困惑してたら、パッと手を離されて、いつも通りの笑顔。
見過ごしてよ…それくらい。
ちょっと今はひとりになりたい気分だったのに。



