「先輩」
校門を抜けたあたり。
いつもは高嶺と通るこの道。
今日は、高嶺じゃない男子が立ちすくんでいる。
「嫌なことあったんですか? 顔、暗いですよ」
そういえば…最近は、ちさくんと話すこともなくなってたな。
これは本当に会う機会がなかっただけ。
学年も違うしね。
「なんもないよ」
「うそだ」
即答されて、言葉が詰まる。
ゆっくり歩き出したあたしの隣をついて歩くちさくん。
なんでもお見通しってことね…。
「柊木センパイのことでしょ」
肩が震える。
ちさくん、その名前は…今、禁句かも。
「楓夕先輩がそんな顔するの、あの人に関することだけだし」
そうなの?
自分でも分かんない。
…でも確かに、最近はもうずっと高嶺のことで頭いっぱいだったからなぁ…。
そりゃあ、元気もなくなるよ。



