どんな顔をしているのかはわからないけど、「当然でしょ」と柔らかい声で伝えてくれる。
咲花も、「柊木くん、ホントにありがとう…っ」と、感謝の意思を伝える。
ふたりとも、あたしの保護者みたいだ。
…そりゃ、ナンパを追い返すくらいの勇気もないヘタレだけどさ。
「でも、もう危ないからこれからは暗くなる前に帰ること」
「うん…」
心配かけちゃったな。
申し訳なくなって、余計に俯くと。
「そんな顔しないの。楓夕がなんともなくてよかった」
そういって、頭をポンポンされた。
…あぁ、もう、ダメ。
爆発しそうなくらい速い鼓動が、あたしの頭をクラクラさせる。
「柊木くんはなんかの帰り?」
「あぁ、俺は…」
高嶺と咲花がそばで話しているけど。
それどこじゃないくらい、呼吸をするので精いっぱいだった。
…どう、しよう。
あたし…。
”俺の女”って言われたとき、
…本当に高嶺の女にしてくれてもいいのに、って…思っちゃった。