あたしの前ではいつもしっかりしてるちさくんが、柊木高嶺を前にして屈してる…。
なんかおもしろいかも、これ。
ていうか、あたしずっと喋ってないし、やるならあたしのいないところでやってもらっていい?
「とにかく、楓夕は俺のだからね。お前は指くわえて見てて」
…は? なに勝手なこと言ってんの…。
ほら…。
教室から『やっぱり振ったっていうの嘘?』『本当は付き合ってるの?』って声上がってるし、ややこしくしないでよ。
咲花たちに助けを求めたいけど、どうせ笑いながら見てんだろうなぁ…。
「アンタみたいな何考えてるかわかんない変な男に渡すわけないでしょ」
うん。
柊木高嶺は変な男だね、そこだけ正解。
でも考えてることはわかりやすいよ、意外と。
ちさくん保護者目線だし。
あたしも今のところはコイツと付き合う予定なんかないけどさ。