「先輩は誰とですか?」
「あ…咲花」
素直に答えただけなのに。
「中野先輩か。…よかった」
そんな風に嬉しそうにされたら、あたしも言葉を失っちゃうよ。
「今日の楓夕先輩かわいいね」
「え? …や、やっぱり?」
「うん。ていうか、先輩はいつでもかわいいけど」
…うーん。
褒めてはくれるけど、これは悩殺とまではいかないか…。
やっぱり、ちさくんはあたしのことを好きじゃないから…?
恋してるか否かで、反応って大幅に変わるよね。
絶対。
「…そういえば、ちさくんは誰と…」
さっきの質問を返そうとしたら。
「知慧!!」
うしろから、女の子の声がして、呼吸が止まる。
振り返るちさくんの姿を目に焼き付けた。
「あぁ…」
「なにしてんの? はやく戻ろうよ」
わざとらしくちさくんに腕を絡める女の子。
知慧…って呼んでたな。
グラスも二個だし、もしかしたらこの子とふたりで…。
それなら、邪魔しちゃ悪いかも。
「あ、あたしもう戻るね。また学校で」
「え……はい」
そんな顔しないでよ。
戻りたくなくなる。
…でも、そこにいたくもないから、さっそうと部屋に戻る。
あー、なんか、嫌なもの見た気分。



