「あたしおかわり取ってくるね。咲花もいる?」
「いいの~? じゃあオレンジジュース!」
机の上で空になっているふたつのグラス。
やけに軽い、カラオケ特有のコップを両手に持って、あたしは同じフロアのドリンクバーへ向かう。
一応、あたしも歌ってみたけど…。
前より声出なくなってる。
結局、後半は咲花の合いの手係になってたし…。
ため息交じりに肩を落としてオレンジジュースのボタンを長押し。
「…あれ? 先輩?」
隣から聞きなじみのある声が聞こえて、注ぎ終わったばかりのグラスを倒しそうになった。
「ち、ちさくん…」
ゆっくり振り向くと、そこにはあたしと同じく二人分のグラスを持ったちさくんの姿。
私服だ…新鮮。
あたしと目が合うと、いつも通りふっと微笑んで歩み寄ってくる。
「たまたま同じ日にカラオケなんて、運命感じますね」
「…運命て」
さりげなく隣に並ばれて、無意識に距離を取った。
なんだろう、この前の勉強会の日から、変に意識しちゃってるのかな。



