無事に三日目の昼下がり。
いよいよ修学旅行も終わり、これから飛行機に乗り込んで帰るところ。
家族とちさくんにお土産も買えたし、あたしは満足。
あとは気兼ねなく帰るだけ…だったのに。
「…邪魔なんだけど」
目の前。
ひどくイライラした様子の高嶺。
何が起きているかと言いますと。
たぶん、あたしの隣に他の男子が座っていることが原因かと思われる…。
とはいえ、これは事前に決まっていた席順だから、高嶺が今更駄々をこねてどうにかなるものでは…。
「はやくどいて」
これ以上怒らせたらまずいって思ったんだろうね。
男の子、慌てて他の席に移ってくれちゃった。
そして、高嶺が至極機嫌悪そうに座席に腰を掛ける。
「…高嶺、今のはないんじゃない?」
「は? 楓夕はあんなやつのこと庇うの?」
「あんなやつって…」
うーん。
高嶺って、たまに子供っぽい。
好きでいてくれるのはうれしいけど、わがままが過ぎるというか…。
「…楓夕の隣、俺以外ありえないから」
ツン、とそっぽを向く高嶺をよそに。
あたしの顔が赤くなったことは、言うまでもない。