楓夕とこれからの旅路に胸を膨らませていると、ゆっくり飛行機が浮かび上がった。
窓際に座っている俺は窓の外の景色に見とれて。
そのうち、楓夕ともこの光景を共有したくなって。
「楓夕、みて、超きれ…い…」
指をさして振り返ると。
──すとん。
俺、絶句。
いつの間にか寝てしまってたらしい楓夕が、あろうことか俺の肩に頭を預けている。
「っ……」
息が詰まった。
軽くパニックになって、通路越しに座る中野さんと絢翔に目線を送る。
…くそ、ニヤニヤしてんじゃねぇよ、二人そろって…。
心臓がうるさい。
胸を突き破ってしまいそう。
…楓夕。
なんでお前って、いつもこうなの?
もしかして俺のこと試してる?
…なわけないよな、天然か…。
肩を落として息を整え、俺はもう一度窓の外を覗いた。
…無理。
なんか、あと三日間耐えれる気がしない。