「…覚えててよ」
睨まれても全然怖くないよ。
むしろ可愛い。うん、誰にも見せたくねー、その顔。
「へぇ。何してくれんの?」
「……」
そこまでは考えてなかったのか、詰めの甘い楓夕が愛おしくて仕方ない。
悔しくなって勢いで俺の手の甲の皮をつねる楓夕。
あー…かわい。なんでこんな可愛いわけ。
「いたた」
「…うざ」
棒キャンディーを舐めながらムスッと拗ねる楓夕に、俺はまた目を奪われる。
超好き。
毎日、トリコになっていく。
もうね。
楓夕の沼から抜け出せないよ。
「楓夕」
「…ん」
「楽しみだね、沖縄」
「うん」
…あ。
俺と視線は合わないけど、少しだけ口角が上がった。
その顔もね、たまんない。
楓夕が彼女になったら…。
俺、どうなるんだろうな。