( 高嶺SIDE )
◇ ◇ ◇
青い空。
白い雲。
澄んだ空気。
絶好の旅行日和。
だけど、プライベートの旅行じゃない。
残念ながら、ただの修学旅行。
行先は沖縄らしい。
俺、誰よりも浮かれてる自信あるよ。
だって。
「…なんで高嶺の隣なの」
飛行機の隣の席が楓夕だから。
まぁ、俺が強引に決めたんだけどね。
だって、数時間のフライト、楓夕が隣にいないなんて無理すぎる。
「楓夕ー、お菓子いる?」
俺の好きな女子は、通路越しに座る友人からのんきにお菓子をもらっている。
俺は楓夕がとなりにいるってだけでドキドキして心臓破裂しそうなのにな。
…全然、意識されてねー。
「楓夕」
「な…んぐっ」
振り向いた楓夕の口に、棒キャンディーを突っ込んだ。
俺のこと見ない罰。
ざまーみろ。