「あっれー? 超かわいい子いる!」
「…へ」
不意に顔を覗かれて、びっくり。
このフロアにいるということは一年生だろうけど…髪、染めてる。ピアス開けてる。
…チャ、チャラい。
「ってかよく見たら先輩だ! 二年ってこんなかわいー人いるの?」
ひとりでずっとしゃべり続けてる。
元気だ…。こういうのを明るいって言うんだろうな。
「先輩、名前は?」
「え…あ、浅桜楓夕」
「フユ? 楓夕先輩!! 名前までかわいー」
ニコニコしちゃって。
後輩のノリについていけない…。
「あ、そーだ。連絡先交換しよ──」
「こら、なに先輩に絡んでんだ」
「うおっ、宇佐見!!」
あ、あたしもびっくりしたぁ…。
最近の後輩ってみんなこんなに神出鬼没なの…?
「困ってるでしょ」
「えー? 宇佐見だって可愛い女には目がな…い…」
「それ以上言ったら刺すからね」
「ひぃ…!! じゃ、じゃあね楓夕先輩、今度連絡先教えてねー!」
ちさくんの脅しに屈して、その子は走って行ってしまった。
同級生の前ではこんなに強いんだ…。
なんだか、ちさくんの知らない一面を知れた気分。